ああ、うん

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【ロスト・フライト】

●あらすじ
旅客機の機長である主人公は、元旦のフライトで嵐に見舞われ、緊急着陸を余儀なくされる。不時着したのは反政府ゲリラが支配する島だった。元空軍でもある主人公と、居合わせた囚人、そして旅客機の乗客たちが反政府の一団と戦う話。

●感想
いったいどんな話になるのかと、中盤までハラハラしてました。なにせあらすじも見ないまま、予備知識ゼロで挑んだので。
わかっていたのは「飛行機もの」で「たぶんアクションもの」ということのみ。あと光属性ジェラルド・バトラー氏(※個人の見解です)が主人公なので、きっとハッピーエンドだろうな、とも。
不時着後、もし乗客同士の血なまぐさいサバイバルが始まったらどうしようかと戦々恐々。始まらなくてよかったです。

ストーリーはわりと王道でありながら、音楽とカメラワークがやや変わっているように感じました。抑制的で淡々としつつもメリハリがあるというか。うまく言えませんが、おかげで緊張感を保ったまま、中だるみせず観ることができました。

また乗客 対 反政府団 のパートは、乗客視点に立つとややキツイところはある(そりゃそう)ものの、描き方が陰惨すぎずちょうどよかったです。現実には、もっともっと残酷でやりきれないことがたくさんあるのでしょうけども。
フィクションとはいえ、反政府団→乗客への暴力にはためらいがなくて「無抵抗の人間になんでここまで?」とは思う。でももし自分が反政府団の立場だったら、同じくらい残酷になれたかもしれません。
同じコミュニティ以外の者は、家畜同然。そんな心性が自分の中にもきっとある。観ながらそんな想像をしてました。

ですが、主演のジェラルド・バトラー氏がすべてを吹き飛ばす勢いでよかった……! 貫禄があって堂々としていて、包容力と安心感がハンパない。「ここぞというとき頼りになる、みんなを導くリーダー役」がピッタリです。
しかも単に熱血なだけでなく、人が持つ翳りや現実の厳しさも含み切ってそうなところがいい。酸いも甘いも知り抜いて、その結果身に着いた力強さという感じがとてもいいです。

ここからややネタバレ。

たぶん100万回は言われてるでしょうけど、傭兵部隊の人たちがめちゃめちゃ格好よかったです。たいてい何人かはやられてしまうイメージなものの、そうだよね、実戦経験も雲泥の差だよね……! と納得の嵐。武器の性能も違う気がする。
親玉の野望が秒でへし折られるさまは、観ていて爽快でした。
ゲリラの人たちにも、違う人生があったかもなぁと少し気の毒ではある。しかし高笑いが止まりません。